人気ブログランキング | 話題のタグを見る
2005年 01月 13日
渋谷川と西瓜糖
渋谷川と西瓜糖_a0013490_0593080.jpg


「春の小川」のモデルが、東京・渋谷駅の真ん前に。
年を経て、これを「都の自然」と呼んで良いものか、どうか。
コンクリートの溝の中に、真っ直ぐ水が流れて往きます。
スミレもレンゲも、今では雑居ビルに早変わり。
それはまるで、ごく小規模な運河のように。

渋谷川は穏田川とも呼ばれ、穏田(原宿・表参道・神宮前)を走り
江戸時代は水車を廻していたそうです。
「富岳三十六景」にも描かれているというのですが、
そんなことを露も感じさせない平成の今。

川の名残は、そのまま遊歩道になって若者だらけの「裏原宿」になっています。
が、穏田商店街は今も生き続け、通の間では人知れず高名な饅頭専門店「瑞穂」が。
ファッション雑誌に出てくるような店と、商店の混じり合いが面白い。

渋谷川と西瓜糖_a0013490_1303616.jpg


所用で「元赤坂」へ。
お昼は豊川稲荷の境内で頂くとする。
松の内が明けても、やはりお稲荷さんに願掛けする善男善女は後を絶たない。
商売繁盛を祈る人々(経営者?)が次から次と。
お供えは「清酒一合」、面白いところで「生卵」など。
「コインサイズの紅白餅・油揚」はセットで経木の小舟に乗せ売られている。
お供えしたあと、金網を被せるようになっているのでカラスは皆無。
拝むところが沢山あるけれど、どこか一箇所にした方がいいの、と
お札売りの女性は話していた。

豊川稲荷を取り囲む塀に、「万惣 西瓜糖」と刻まれた石がはめ込まれており、
そう言えば銀座に「万惣フルーツパーラー」ってあったなぁと思い耽る。
西瓜糖、という聞き慣れない言葉が気になりながらも、
砂糖の不自由な時代に「スイカ飴」のようなものが過去、存在したんだろうなと推測。
ところがこれが、平成の今も造られていることが後になって判明する。
万惣とは、やはりあの万惣。出ました、宮内庁御用達。
スイカを煮詰めたエキスなんだそうです。

渋谷川と西瓜糖に、失われつつも強かに生き延びる、古きよき東京を思うのでしたとさ。
by tokyometropolis | 2005-01-13 01:59 | 都の自然


<< 四谷見附の高い空      鄙の都へ >>